「それ」は自分の「勝手」に必要以上に巻き込んでしまった事への「負い目」でもあり、またあゆみの内にある「負の感情」を無遠慮に刺激してしまった事への「負い目」でもあった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だからこそ彼女はあゆみに「間違っても「此方側」に来てはならない」という気遣いを込めて優しく諭した。

必死で自分を止めようとするキリコとは対照的に冷ややかな目で彼女を見つめるミユキ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そんな彼女に対しミユキはやや呆れ交じりにこう言い放った。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「私はもう「昔」とは違う」と。

「守るもの」の「大きさ」を、「多さ」を、何より「価値」を以って他者との差を、優劣を競うと言うのは愚の骨頂である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし、それに対する「思い」の強さという点に於いては間違い無く逆神とミユキとでは明らかに強さに差があった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　血肉を分けた実姉のムギの様に、或いはそれ以上に部下に、仲間に腹蔵無く接する、依存する「今」の逆神に対し、他者に必要以上の依存をせず、自らが強くあらねばという他のポリ組メンバーと比較しても独立独歩な個人主義の強い「昔」の逆神に近い存在であるミユキ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　どちらが「強い」かなど議論する余地すら無かった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だがそんな事は当のミユキは分かっている筈。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それを分かった上でこの子はこの「戦い」を始めるのだなと「彼女」は理解した。