誰もが「こうしたい」と思う事がある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　誰もが「こうありたい」と願う事がある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だが殆どの者が「そこまで」で「何も出来ない」と諦め「妥協」「迎合」してしまう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし稀に「そうある」事を良しとせず、「こうありたい」と藻掻き、足掻き、それでも必死に喰らい付かんとする者が現れる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それらは必ずしも「時代に選ばれた」とは思わない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　確固たる己の「意思」で自身の「未来」を選び、切り開いたのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そんな存在を目の当たりにした「そうありたい」と願う者の脳裏に過るのは「憧憬」の念か。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　或いは「嫉妬」の念か。

この状況に我慢出来なくなったのか、それまで控えていた「彼女」が遂に声を上げた。

少女は「理解」出来なかった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何故彼女が「この様な事」をするのかという事が。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何故彼女が誰も彼もが不幸になるしかない「凶行」に走ったのかという事が。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それ」が少女には到底「理解」し難かった。

あの「戦い」はもう「終わった」筈だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あの壮絶な「大乱」を最後にもう「終わった」筈だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　少なくとも彼女は「そう」思っていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いや、「そう」思いたかった。

その時、彼女は初めて「敢えて」意識を向けずにいたその少女に漸く意識を向けた。

そう言下に突き放された「否定」の言葉に彼女は思わず呆気に取られた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正に「的外れ」の展開に「理解」が、「思考」がフリーズした。