オリジナルウマ娘72 「お相手願いますわ」

こんなに月が青い夜は、不思議な事が起こるよ どこか見知らぬ森の中で、彷徨う私 あの出来事からまた、数週間が経った。 雷電とは再会の約束は結んだものの、三日月に出動号令は下りず、本拠である航空母艦「つるぎ」で悶々とした日々を過ごしていた。 あまり意識をしないように気を付けているつもりでも、ふと気が付くと深いため息と同時に彼の顔を思い描いている自分に気づく。 幾万発もの艦砲を掻い潜ってきた身にしてなんという気弱りであろうか、と自嘲気味に笑う。そんな毎日。 眠れぬこの魂は、貴方を探し森の中 【月の宮殿】の王子様が、跪いてワルツに誘う ある日の夜、「つるぎ」の夜間警戒スタッフの任についた三日月は、夜半遅くの休憩時間中に突然湧き上がった一つの「確信」を胸に飛行甲板へと上がる。 数時間前に銀匙エリアから簡易物資を輸送してきたオスプレイが艦橋横で翼を休める横を通り抜け、三日月はそこで「確信」が正しい事を知る。 三日月「雷電、さん……どうして、「つるぎ」に?」 雷電「そこのオスプレイに忍び込んで運んでもらった。こんなに早くお前に見つかるとは予想外だったがな」 冷たいこの爪先を、白鳥の羽でくるんで 【月の宮殿】の王子様は、貴方に似た瞳で笑う 三日月「……どのようなご用件でしょう?」 雷電「約束を果たしに来た。次に会う時はダンスでも踊ろう、そういっていただろう?」 　そういうと、雷電は跪いて三日月に手を差し伸べ、エスコートする。 雷電「「チャンドラ・マハル（月の宮殿）の王子様」とまではいかないが、 ワルツ位なら俺も踊れる。お相手願いますかな?」 三日月「……はい、お願いいたします」 こんなに月が青い夜は、不思議な事が起こるよ 愛することは、信じる事 いつかその胸に抱かれ、眠った夢を見る モチーフ元　月のワルツ　諫山実生　sm23261925 前　im5502516