過ぎたる「恐れ」は人に負の感情を駆り立てさせ、それは更なる負を引き寄せる「呼び水」となる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だが例えそうだと知りつつも人は「そう」せずにはいられない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それ」が人というものの「業」であるが故に。

ミユキの自害はゆっきーに促された部分があるとはいえ彼女自身で決めた事。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そしてつい先程逆神が自身の意思でその事を認めた筈である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし今こうしてミユキは当の逆神自身によって自害を阻まれた上に、ミユキが「自分自身を撃った」という「事実」を以ってその「罪」は「清算された」という形にしようとすらしている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし「それ」はこの「事態」の責任を己全てで償う事を認めた者としてその言動に「矛盾」をしてはいないかとシリキッドは彼女に問うた。

そもそもにして特にマイケルはすっかり「忘れていた」。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いつもいつもオレ超大国TUEEEEなRPをかましている米国サマーの大統領は「現在の安保理の仕組み」という肝心なモノを。

何とここでそれまで米英欧露の面々に隠れる形でそれ程目立っていなかった者の一人――――ASEAN（東南アジア諸国連合）の代表であるタイ王国の第一王子のシリキッドが口火を切った。

安保理議長であるシリキッドにはどうしても確かめねばならない事があった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何故逆神がミユキの自害を制止し、その命を救ったのかという事を。

彼は「一人の男」としてこの「少女」に並々ならぬ「関心」を、そしてそれ以上の「想い」を寄せている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それは母国の「プラボーロンマハーラーッチャワン（พระบรมมหาราชวัง）」（タイ語で「大宮殿」の意。首都バンコクのプラナコーン区にある王族の住まう所）に招き、新たなる后として迎え入れたいと願う程に。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし「チャクリー王朝」の次期国王にして「タイ王国」の首相、そしてASEANの議長にして今期の国連安保理議長という「立場」としては目の前のこの「存在」、そして彼女の率いる「ナイトメア」に対し「畏怖」と「戦慄」を抱かずにはいられなかった。