紫　「いつか言った通りになってしまったわね。宿命からは逃げられないと」 如月「紫さん？ということは、私……？」 紫　「いいえ、貴女も、貴女の子も大丈夫。けれど、貴女が望んだ通りには生きられないでしょう。貴女に課せられた宿命は子達にも受け継がれる、その役目を全うするその時まで。本当の意味で解放されるのはまだ先の事になりそうね」 如月「……やっと、海斗に……喜んでもらえると、思ったのに……彼に、休んでもらえると思ったのに……60年ずっと戦い続けてきて、死にすら見捨てられてしまったあの人に、やっと人として喜んでもらえると思ったのに……」 紫　「……残酷よね。けれど、泣いてばかりはいられないわ。貴女がなぜ、彼が乗り越えた60年という時間を飛び越えてこの時代にやってきたのか。それは、託された封印を確実に伝えるためなの」 如月「封印……第４の、封印？」 紫　「そう。この世界を構成する4つの概念、その最後の一つは、60年前に貴女に託されていた。でも封印を解くための鍵は二つあり、どちらが欠けても開くことはできなくなる。今、貴女達は確かに鍵の役割を果たした。開かれた封印をどうしていくかは、貴女達次第……」 如月「……」 鮎葉「恐れる事は何もないのよ、如月。貴女が思い描いた通りの未来をゆけばいい」 如月「！鮎葉……母様？」 鮎葉「少なくとも貴女達は、子等と同じ時間を生きる事ができる。ならば、その生き方こそが子等にとっての規範になるはず……前を向きなさい、未来は前にしか続いていない。導くものが恐れに飲まれたら、後に続くものも先へ進めなくなるのだから。ほら……あれほど逞しい姿を、迷わせるわけにはいかないでしょう？」 如月「………あれ、は……」 紫　「宿命は今だ晴れず、されど希望はより大きく。私は貴女達の行く末をずっと見守っています。頑張って、如月。そして幸せをつかむの。貴女になら出来るわ」 大鯨「容態安定……全カテゴリーグリーンコンディション、ようやく危機を脱しましたね」 明石「よかった、如月……もう大丈夫よ」