ハロウィンといえば、オバケの仮想をした子供達が、お菓子を求めて街を行き交うユーモラスな祭として、世界中に知られているの。 祭の前、わたしはおうちの和室で普段着からオバケの格好に着替えるの。 あたしは押し入れの奥にあった包帯をからだに巻き付けミイラの仮装をはじめたの。その包帯は、お兄ちゃんがお祭りに出かける度に増えて行く不思議な包帯で、ドロドロボロボロになってるから、使い捨てで、ゴミとして出すつもりなの。 あたしはコレでおかしを狙うの。 包帯の、できるだけ汚れてる奴を10数本ほど、 きっちりさらしのようにからだに巻きつけオバケに変身するの。 そして、今夜、わたしたちの祭が始まるの。 あたしはもう一度汚れた包帯姿を鏡に写して確認し、部屋中に散らかった包帯を気にして、 ウォーッと叫びながら、部屋の中を片付けるの。 汚れた包帯は、何かの臭いがムンムン強烈で、あたしの食欲を刺激するの。 胃袋の中は空っぽで、もうすでに痛いほど空腹なの。 残りの包帯をゴミばこの中に入れる。臭いの。 汗臭、アンモニア臭や、なにか独特の酸っぱい臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんないの。 臭ぇぜ、ワッショイ！　この野郎ワッショイ！と叫びながら、ビニール袋ごとゴミにするの。 嗅ぎ比べ、一番異臭がキツイやつを２重に縛る。 その包帯には、お味噌汁の染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らないの。 他の包帯は、ミイラのように頭や身体に巻き付け、ウオッ！ウオッ！と唸りながら身体に巻きまくる。 そろそろ限界なの。 あたしは玄関から街に飛び出し、ご近所中のインンターフォンに、思いっきりピンポンする。 「トリックorトリート！　トリックorトリート！！」と叫びながらインターフォンをピンポンし続けるの。 本当にオバケになった気分で、ムチャクチャピンポンする。気持ち良い。 インターフォンのボタンは、あたしのつば飛沫でベトベトに汚されるの。 近所の皆さん、お菓子はもうあたしのものだよ！ わたしのハロウィンが済んだあと、食べきれなかったお菓子をまとめて、ビニール袋に入れキッチンの戸棚にしまい込むの。 また来年、ハロウィンで手に入れるまで、おやつにしちゃうの。 キッチンにはそんなビニール袋がいくつも仕舞ってあるんだよ。