人の生涯は、価値のないものだ。 どれほど成功しても、どれほど失敗しても、 あまつさえ善人でも悪人でも、若くても年老いていても 死を迎えたその瞬間に、その存在の価値は0に戻ってしまうからだ。 だから、人の命には価値がない。見出せない。意味がない。 そういってせせら笑う若者に、ある娘は言った。 人の生涯の価値とは、生きている事自体にはない。 どのように生き、どのような道を歩き、どのように死んだのか。 その道行、足跡にこそ、意味が生まれてくる。 貴方が嘲るその命も、もしかしたら何代も後には英雄として語られるかもしれないし、 嘲った貴方自身は誰の目にも止まらない惨めな死の中で消えていくかもしれない。 貴方も今に死を渇望するようになりますよ、 他の誰かからたたえられ、語り継がれるようになるために…… TOP　　　im4053324 Before　　im6078218 Next　　　im6097529

理音「アンタとも、あとどのくらい一緒にいられるかしらね?」 生体工学、および義体工学、兵器産業の分野でアメリアのパイオニア企業となったCYBERD社。その最大の功労者・名誉会長である才場理音と、彼女を守護する電龍・サイバリオン。

人は海から来たといわれている。 形を成さぬほどの昔、すべての命の源は海であった。 海の変化が、命の変化をはぐくみ、種を増やし、そして英知を作っていった。 いま、大地を汚し共食いを繰り返す人々は、 ともすると母なる海への帰結を望んでいるのかもしれない。 明かされた秘密、託された未来、受け継いだ責任。 その全てが、少女を強く育んでいく。 ※まさかのキャンパスサイズオーバーのため、前後編に分割しました。 　ご了承ください^^; TOP　　　im4053324 Before　　im6088131 後半　　　im6097574

　サイバリオンは電子的な機構を持つ自律ドローンだが、ジェネレーターに量子反応炉を用いている関係上「食事」を必要とする。 　才場理音の元におかれた最後の一頭においてはフォノンリアクターに換装されているが、補助的なえねりぎー機構として反応炉も残されているため、食事の必要性はなくなっていない。 　エネルギー源は基本的に「何でもよい」のだが、硬質な鉱物(特に貴金属、宝石など)を好み、逆に粘性の高いものは敬遠する傾向がある。

宿命、因縁、そして未来。 様々な想いの絡み合いが、その旅の総てだった。 たどり着いた場所は、新たな始点。 終点を決める余裕さえもないまま、歩き出さねばならない。 それを見送る瞳が、失われていく。 その、なんと悲しい事だろうか? 後悔と懺悔の念に囚われた魂を、娘は開放する。 だが、許された時間はあとわずか…… TOP　　　im4053324 Before　　im6064369 Next　　　im6088131