改修完了をもってダメージから回復した三日月だったが、しばらくの間その気持ちは晴れず、モヤモヤに苛まれる日が続いた。 　三日月の現状心理に心当たりのある海斗であったが、それを解決するためのアイデアが浮かばない。 海斗「如月だったらどうだ？自分を完膚なきまでに叩き潰した相手に恋心を抱く、というのは考えられるか？」 如月「あの子は姉妹たちの中でも特に生真面目で、表面に見える心理以上にその裏側を知ろうとしてしまうところがあります。おそらくその影響で、相手から読み取った何かに強く惹かれるものがあったのでしょう」 海斗「ストックホルム症候群とも少し違うみたいだしな。さて、どうしたものやら」 皐月「簡単じゃないか、同じ状況にもう一度放り込んでやればいいんだよ」 海斗「その心は？」 皐月「あの子を襲った男は、それにも関わらず止めを刺さずに立ち去った。目的とみられた「情報」も奪われずにそのまま放置されている。まずその一点が不可解。それに、いくら時代遅れのF1規格以前のボディだったからってあそこまで圧倒されるなんて事はそうそうないはず。おそらく性能以上に経験が違ったんだろう。 　でもそこは三日月だってこの60年を戦いに費やしてきたんだ、経験の量で負けることはない。ということは質で負けたってことになる。自分とは違う質の経験、それに対する想い。この二つが純粋な想いと混ざり合って、いまのあの子の心理を専有してる。 　だったら……同じ相手ともう一度ぶつけてやればいい。今度は互角以上に戦えるはず、そこで思い切りぶつかり合って、それで知っていけばいいんだよ」 海斗「だがそれは三日月自身の身を危険に晒す事にもなる。前回の相手がそのままの力量で相手をしてくれるという保証はないんだ。本領を発揮した相手が三日月の能力を超えたならば……」 皐月「あんたは理解してると思ってるよ、司令官。私達は戦うための存在だ。その中で自分の意義を見つけ、居場所を見つけてる。あの子だって例外じゃないんだ。命惜しさでその戦いを避けていったとしても心にある想いをどうにかできないままなら、それは死んでいるのも同じこと。「初恋」がそんな結末なんて嫌に決まってるだろ？」 前　im4510435　　次　im5032639

「出会い」は最初「それ」はもう最悪極まりないもので、その後も毎週、毎回、毎日、毎分、毎秒で「何事」かに巻き込まれてはそれはそれはもう踏んだり蹴ったりの連続であった。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし「それ」も「今」となっては振り返って懐かしむ程度には自分の中で受け入れられる位には「彼女達」の中で既に得難い「経験」なり「思い出」として「今」の「彼女達」を構成する「血肉」なり「記憶」となっていた（感覚麻痺？　ストックホルム症候群？　ﾅﾝﾉｺﾄｶﾅｰ?w） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　逆神には決して言いはしないが、「今」や「ナイトメア」の者達も、そして何より逆神も「彼女達」にとって強い「キズナ」を感じる「好敵手（とも）」であり「仲間」であり「家族」なのだ。