波野チカ 10歳。 性質は不許。 毎年夏になると地元の小さな海水浴場で働く少女。彼女のお小遣いは家業の海の家の売り上げ次第で決まるシステムなのだ。 普段は温厚で人当たりのいい彼女だが、たったひとつどうにも許せないものがあった。大事な商売道具である海岸をゴミで汚す不届者のことである。彼女は早起きして毎日毎日浜のゴミを拾って回るのだが、なにしろキリがない。中でもこの、漢字だか記号だかわからない文字が印刷されたパッケージの大量のゴミの山。 なんなのこれ？一体誰が捨てていくのよ、許せない…浜の運命はわたしが決める…イカ娘とかメカ娘とかムカデ人間とかよくわからない人たちにまかせてはいられないのだ。 「やぁ、大変そうだね。よかったら魔法で解決してみないかい？」 こうして海の守護神たる魔法少女が誕生した。 今日もヒャッハーー！！と浜で禁止されている打ち上げ花火を連射する若者たちを見つけては、あのよくわからないゴミを彼らの大事な違法改造車の中にブチ込んで血祭りにあげるのだ。 「これ捨てたのあなたたちでしょう？全部持ってかえってもらうからね」 「ちち、違ぇぇよぉおぉ…ハングルがついてんじゃねぇか、そいつは海の向こうから流れついてくるんだよ！おっおっオレの大事な車ちゃんが～～～！！」 「そうだったのか～許せない！敵は東方にあり！」 その日半島に、大津波となったゴミの山が押し寄せる。津波の上にはスク水を着た少女が仁王立ちで睨みをきかせていた。ゴゴゴ… 「海をよごす人は、ぜったいに許さない」 「なんか大変な子を魔法少女にしちゃったなぁ。」