今日もまた扉をたたく音がする　私の返事を聞いてから扉が開く「どうも唄音さん、本日は取材を受けて下さりありがとうございます」　どこかの記者が定型文で話しかけてくる、それもそのはず　彼らが記事にする内容は既に決まっている　私が勝利のためにやらない夫の情婦となって尽くしたという政府が考えた作り話　それをもとにした質問に私は「はい」とだけ答え、それを聞いた記者は「それでは失礼します」　と、30分もしないうちに部屋から出ていく記事の内容を知るのはメディアに載った後だ　大概の記事の内容は絶体絶命で諦めかけたやらない夫に身も心も奉仕し純潔を捧げる事で彼を英雄へと導いた一夜限りの恋人　その出鱈目を私は否定することなく「はい」と答えて終わらせていく「君には悪いがこちらの作戦に参加してもらいたい」　ある日突然現れた軍のお偉方はそう言って一枚の紙を突きつけた「人類の希望と世界を護る為の救世主作戦」　要は人類の希望として旧人類の博麗霊夢、世界を護る救世主としてやらない夫を二人一組でプロパガンダとして扱うという話　そこに私の居場所はない　私は、人類の為に、世界の為にと言われ頷いてしまった、私達UTAUの存在理由は人類を世界を守る事なんだから、逆らう事が出来なかった　それからはずっと私達の恋を否定し、やらない夫と博麗霊夢がお似合いであるという質問を装った押しつけをただただ受け入れるしかない日々　自分の気持ちを否定されるのがこんなに苦しいなんて 　早く帰って来てくれ、やらない夫 　あなたの事を一目でもいいから見たい 　あなたの声を一言でもいいから聞きたい 　あなたの温もりを一瞬でもいいから感じていたい 　そうすれば私は頑張れる、まだまだ負けるものかと思える 　だってそうだろう、私の恋人はついにハイブを攻略したんだから 　その恋人として恥ずかしくないように立って見せる 　だから、早く帰ってきてお願いだから デフォ子：わたべ ななみ様 PowerShader：角砂糖様 病室v2.0：まお様