その「技」は「対話」の力を極める過程で「とある人物」から伝授されたものであった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし「それ」は従来のラマーズ式や振動式などとは違う「方式」で、そもそも声を発する呼吸器官自体が「とある王族」のごく一部でしか確認されていないというかなり特殊なものであり、当時の二人ではほぼ不可能な「技」であった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あゆみ」がプリキュアから身を引いて後も研究と実証は続けられたが遂に生前までにそれは叶う事無く彼女との「離別後」も騎龍はひとり細々と続けていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　RVRとの死闘後に手に入れ、後にカスタマイズされたＷキュアドライバーの力でエコーデコルに憑依していた「あゆみ」の魂が数百年ぶりに復活し、揃っての研究は再開。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドライバーと四百数十チーム、約二千四百九十本のメモリを用いた実証は大いに捗ったがそれでも「本物」には程遠く、結局最も近い発現率を叩き出した「PRISM」、そして「MUSE」のメモリを用い発現率を高める事が最適解だと二人は判断した。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今回そういった理由でこの二本が使われる訳なのだが「あゆみ」はこの極めて不確実性の高い、危険な「技」が多くの人間―――それも大国の首脳陣を含めた衆人環視に晒される事への懸念。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何よりその「技」の伝承者たる「かの人物」が最も知られる事を危惧した「あの国」の「王族」が見ているという事を問題視していた。