『この自分がみてゐる月を、やはり内地で君子も部屋の何処かで見てゐるだらうと思へば、しつかり抱れた君子の身体のやはらかさが感ぜられる様です。甘いくちづけのうつとりした気持も今は唯思ひ出のうつつか。夜半、土の冷たさに目覚めた時の味っけなさ、天幕をはひ出して君達の健康を祈つたことも幾晩かありました。　中隊で、分隊長を呼ぶ声が聞こえますから、行つて参りませう。』　陸軍曹長　佐々木徳三郎　命　昭和十三年三月十六日　北支山西省にて戦死　秋田県山本郡鶴形村出身　二十九歳引用『英霊の言之葉（2）』靖國神社刊→「つはもの」（しゃちさんのモデルをお借りした静画）　clip/1345914