―――とはかの戦国時代の名武将「武田信玄」の言葉ではあるが、確かに「人」という存在はある意味他の如何なる食物や鉱物、エネルギー等よりも貴重な「資源」であると言える。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　如何に広大な領土を持ち、豊富な天然資源を有そうとその価値を正しく理解し、それを十全に活用できる「存在」がいなけれ文字通り「宝の持ち腐れ」であるからだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冒頭の言葉を残した信玄や彼のライバルである織田信長、そして徳川家康はこの言葉を有言実行した結果、優秀な臣下や盟友、強力な戦闘集団、潤沢な資金、整備された領地を得るに至った。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　反面、その後継者達はその事への理解が及ばず、甲斐武田家は滅び、織田家は衰退し、徳川幕府は明治新政府によって倒された。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　近年で言うと「大粛清」によって多くの人材を粛清した結果ドイツ軍の侵攻を許したソ連。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「文化大革命」で多くの文化的遺産を破壊し人材を外放した結果、国の発展を三十年は遅らせたという中国。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「原始共産主義」を妄信し数十万の知識人や技術者を虐殺したカンボジア。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そして短絡的に一過性的な利益にのみ終始し、結果過去から現在進行形で貴重な技術や人材を失いつつある現代の「この国」が後者になる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「この世界」において良きにつけ悪しきにつけ、何事かを成すのも、また壊すのも等しく「人」のみが為し得る「業（わざ、又はカルマ）」なのである。