地元の神社に初詣にやってきたけみか式姉弟。 お正月らしくきちんと晴れ着を着て、今年一年の幸せを願います。 「ちょっとー、レン。あんたさっきから食べてばかりじゃない」 「だってさー、ミク姉。おせち料理もいい加減飽きちまったし、せっかくお年玉でサイフがあったかいんだから、食わなきゃ損じゃねーか」 「世間的には豪華絢爛の一言らしいけどねえ、我が家のおせちは」 「そりゃあ、見てくれはいいんじゃないの？　リン。代議士やってる爺ちゃんと親父の後援会の客が家にわんさか来るから、もてなしだけはすげえよな」 「レンだってそのうち地盤引き継ぐんでしょ？」 「てことになってるけど、分かんねえぞ。後継者はテト姉かもしれないし、ミク姉だってオトナになりゃあ、いつの間にか擁立されるかもよ？」 「その前にミク姉は、有力なセンセイの下へお嫁に行かされちゃうかもね。ほら、うちはだいぶ遠縁とはいえ、北米財閥に一応名を連ねているから」 「せめて、性格いい人にしてほしいわね。リン。おカネはあるけど……なパターンだと最悪じゃない」 「本家筋のやつらは、ほとんど別世界の人間だよなあ。チャコ姉さまなんて、よくあんな舌噛みそうな言葉遣いができるもんだ」 「あちらは将来、北米様の後継になる可能性があるから、そりゃあもう帝王学がものすごいんでしょ」 「ま、俺はごめんだね。家は立派でも、こうやって屋台で買い食いもできない生活なんてまっぴらだ」 「うちはなぜか、この辺放任主義よねえ。おかげでのん気にやってるけど」 「爺ちゃんが婿養子で庶民出身なのがでかいよな。俺もそっちに似たみたいで、ちんまりしたフルコースよりも、カップ麺やハンバーガーの方が食いたいもん」 「じゃあ、この後はファミレスでも行く？」 「賛成！　今日は目玉焼きハンバーグとチョコパフェと、ドリンクバーで決めるわ」 今年もよろしくお願い申し上げます。