どれだけ厳重にセキュリティを施しても、それでも尚足りないという心配は尽きない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何せ「ブルースカイ」には「愛乃まめぐ」が、そしてこの日本には他ならぬ「彼女」がいるのだから。

それぞれ国や組織ののトップたる理事国首脳が老境に入り少々硬くなりつつあった頭を捻っていた時、そんな彼らに対し発言を求める者の手が挙がる。

キリコにとって如何に大国の元首や国家連合の代表であろうとそこいらの酔い潰れて眠りこけてる酔っ払いと何ら変わる事は無い。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　所詮は有象無象の名前も良く知らぬ「モブキャラ」に過ぎない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だから今回の件で彼等や彼等の国が破綻しようが破滅しようが彼女にとっては「どーでもいい事」なのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　看過出来ないのはその取るに足らないモブ共の小細工やその不手際のせいで何の関係も無い逆神達やこの町の住民までもがとばっちりを受けてるという事。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それは「今の彼女」にとってはとても座視出来ぬ事態であった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

そんなかれいから「バトン」を渡された理事国一同は急に振られたせいもあり互いに顔（アバター）を見合わせながらもどう返したらいいか迷い、一言も発せずにいた・・・と思いきや――――

ミユキの自害はゆっきーに促された部分があるとはいえ彼女自身で決めた事。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そしてつい先程逆神が自身の意思でその事を認めた筈である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし今こうしてミユキは当の逆神自身によって自害を阻まれた上に、ミユキが「自分自身を撃った」という「事実」を以ってその「罪」は「清算された」という形にしようとすらしている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし「それ」はこの「事態」の責任を己全てで償う事を認めた者としてその言動に「矛盾」をしてはいないかとシリキッドは彼女に問うた。

佐久良の言葉に教室内、そしてこの場を注視する各国の要人達全てに今日幾度目かの衝撃が走った。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いや今度は漸くに見えた「希望」の兆しが頭から叩き潰されたかの様な「失望」―――否「絶望」に苛まれたが故に落胆も又それに比例して酷いものであったのだが。

そして「他の者達」の方にも「それ」は「現れた」。

安保理議長であるシリキッドにはどうしても確かめねばならない事があった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何故逆神がミユキの自害を制止し、その命を救ったのかという事を。

そもそもにして特にマイケルはすっかり「忘れていた」。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いつもいつもオレ超大国TUEEEEなRPをかましている米国サマーの大統領は「現在の安保理の仕組み」という肝心なモノを。