中国で「肺ペスト」なる珍しい症状の病気が発生したとニュースでざわついていたので、「そういえばペストの妖怪化とかあるのかな？」と呑気な気持ちで調べてみたところ、「日本にコレが入ってきたらヤバい」という事が分かったので、気持ちを落ち着けるためにSSにしてみました。 手前のロリ鬼子ちゃんは他所様のキャラをお借りしたものです。 ~~~◆~~~◆~~~◆~~~ 「たしかに、狐狼狸（コレラ）さんや疱瘡神（天然痘）さんに比べたら、この国では我らは新参者で、実績など微々たるもの。 おまけに、人間に打ち負かされた情けない病魔にすぎません。 西洋で"黒い死神"と恐れられた我が一族のプライドは、たいへんに傷付いたものです。 …ですがね、それでも我々は馬鹿にしたものではないのですよ。 ペストの初期症状は単なる風邪と見分けがつきにくく、しかし発症してから半日処置が遅れるだけで致死率は９０％にもなる。 有効な治療法は確立されている反面、いまだ人間は我々に対するワクチンを発明するに至っておりません。 おまけにね、この国では過去に我々が流行しなかったせいで、我々に対する警戒も甘いのですよ」 そう言うと病魔は天を仰いだ。 「１００年の時を経て、我々がこの国の”病魔の王”となるのも、悪くないかも知れません」 「…どうするんじゃ、ミタマモリ？」 流石に焦りを含んだ口調で鬼子が問う。 「奴が言った通りだ。"ワクチン"が無い以上、対処療法しかあるまい」 二人は身構える。 「本体だけでも、ここで食い止める。あとは、この国の医療体制がまだ腐ってない事に賭けるしかない」 「やれやれ」 気落ちしたように、しかし腹をくくって鬼子も合わせた。 「これは、賽銭も減るな」