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ここで少女はこの二人に対し核心的な「疑問」を突いた。 この町―――いや正確にはこの町の名の由来となった今や失われた「彼の地」からこの世界総ての精霊を束ねる「彼女」の事を。
だが「それ」はミユキとて「同じ」であった。 恐らくは大多数の「魔法使い」同様に、「自分」や「姉」の様な者にとって十六夜キリコという存在はその母であるグリコ、更にはかの偉大なる大魔導士リコ、そしてその朋友である朝日奈みらいとは明らかに一線を画した「異端」――――
凡そ「科学」とは無縁どころか相反する「魔法」が中心の、しかも今や排外主義が台頭する「世界」にあっても「外」の情報を完全に遮断出来るものでは無い。 しかも「それ」が「魔法」をも凌駕しかねない尋常ならざる「力」を持った「存在」の事であるならば猶更に。 その「所業」や「信条」の如何に関わらず「外の世界(ナシマホウ界)」において常に科学分野の最先端を常に行っていた「彼女」は「魔法」以外の「力」を標榜していた「少女」にとって非常に意識せざる得ない存在であり、己の才覚で伸し上がろうと渇望していた「少女」にとっての言わば「目指すべき存在」”であった”。 そう、「かつて」は。
「それ」は自分の「勝手」に必要以上に巻き込んでしまった事への「負い目」でもあり、またあゆみの内にある「負の感情」を無遠慮に刺激してしまった事への「負い目」でもあった。 だからこそ彼女はあゆみに「間違っても「此方側」に来てはならない」という気遣いを込めて優しく諭した。
圧倒的な「力」でありながら何故今の今まで極めて限られた「例外」以外に「アレ」が使用される事が無かったのか。 それは「アレ」が持つ尋常ならざる圧倒的破壊力によって齎される甚大な被害と何より「アレ」の力の源泉である「放射性物質」によって齎される大地へ、そして生物へ向こう数万年以上は脅かし続ける「放射能汚染」の恐ろしさにある。
そして「これ」も少女は当然「予測」していた。 自分のこの様な「行動」を目にして自分と同じ「名」を持つ其処の「彼女」が、そしてその「仲間達」が傍観し、看過するなど断じて有り得ないという事は。
「そう」問いかけるミユキには一切の「躊躇」も「猶予」も「慈悲」も存在しなかった。 彼女が求めているのは唯一つ。 たった一つのシンプル且つ(彼女にとって)非常に「重要」で「意義」のある「答え」であった。
「進化」を嫌い、「変革」を忌み、「他者」を疎み、「明日」を見ぬ。そんな「世界」に「未来」など決して訪れたりはしない。有るのは「ただひとつ」。緩慢にして確実なる「終焉」という名の「死」だ。
例えばこの二人の場合、ミユキは如何にも互いの利害の一致を見ているかの様に言ってるが、よくよく観察すると「これ」が如何に逆神らにとって「不確かな利(ローリターン)」であるか。 そしてミユキにとって如何に「労せずして得られる利(ハイリターン)」であるかが分かると思う。
「少女」は断言する。 「自分」はただ「お前」がかつて「やった事」と「同じ様」にしているに過ぎないのだという事を。 そして「その事」を他の誰より「お前」に「それ」を非難する権利など微塵も無いという事を。
「少女」は・・・コバヤカワミユキは「知っている」。 「彼女」の事をここにいる他の誰よりも「ずっと」。
今、自分が「何」を為すべきか。 「何」を為したいのか。 問われずとも「それ」はとうに彼女の中で定まりつつあった。 しかし「今」の「このまま」で「それ」を求めるのは難しい。 何より自分の犯したこの大いなる「罪」を何ら清算しないままでは誰も納得はしない。 その事も彼女は重々承知していた。
そんな自分への気遣いをみせる逆神に対しミユキは感謝しつつも自分の心配は無用であると告げた。 己の命を捧げる事すら厭わぬ姿勢を見せた彼女は既に「覚悟」が出来ていた。
彼女は「王国」の「内情」も、ヒメルダの「思惑」も当然承知していた。 ヒメルダは旧「ポリ組」の中で唯一先の叛乱に表立って加担せず陰に潜んでいた彼女の存在を何より訝しんでいた。 それでも叛乱によって大幅に力と人材を喪失した王国にとって一人でも多くの有望な人材は何よりも必要であった事もまた事実。 そこでヒメルダは丁度赴任先の日本に引退し娘と居住していたアンアンに無理を頼み彼女の監視目的で側近として復帰させる事にした。 だがそんなヒメルダの「思惑」を聡い彼女が気付かない訳は無く、監視されているのを逆に利用してヒメルダやアンアンの油断を誘う事により自分の「企み」を着々と進め、まんまと出し抜いたのである。