そう、「彼女”達”」は最早「この世界」が「そういう段階」では無いのだと「見限った」のである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だからこそ遂に「彼女”達”」は動き出す事にしたのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この「救い難き世界」に、「人間達」に「現実」を思い知らしめる為に。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彼等が忘れている、いや理解すら出来ないであろう大いなる「畏れ」を以って。

「嘗ての逆神」を当初から知る者からすれば如何に現在（いま）が丸く柔和になり、親しみやすくなったとはいえ、度々見受けられる過激且つ苛烈な言動やその結果を見ればやはり彼の者は世界にとって、人類にとって恐るべき脅威である事には変わりないのでは無いのか―――そういう疑念や警戒は中々に拭い去れない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかも彼女自身、対外的に日本やブルースカイ以外の国とは積極的な結びつきや交渉どころか自らの意を明確に示して世界に対し自らの釈明や正統性の主張を一切行おうとはしないのが安保理常任理事国を始めとした諸外国政府や報道関係、そして彼女をそこまで知らない大多数の者達にすれば未だに彼女を「得体の知れないバケモノ」にしか見えなかったのであった。