もう彼女はいない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今日まで共に争い、共に競い、そして共に肩を並べて歩んだ彼女は、もういない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　互いに拳を、心を、魂をぶつけ合い、そして理解（わかり）あった彼女は、もういない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　分っていた筈だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いつか訪れるこの日の事を。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　覚悟していた筈だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　同じ時を歩む事の出来ない彼女との別れを。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　明日からはまた………ひとり。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彼女との思い出と、託された想いを胸にひとりでまた歩いていく。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でも今日は―――――今、この時だけは―――――

私はこの街が大好きだ 人通りの多い場所に好んで乱立するラーメン屋が好きだ 大橋を渡った先の橋げたから眺める夜景が好きだ 様々な人のめぐりがうねるこの街を一望できる自室のワンルームが大好きだ 間違いなくこの街に私の世界の全てがあった　その全ては一人の女性と共にあった 　人通りの多い立地にありながら寂れてしまったラーメン屋に入り まずいラーメンをすすりながら油で饒舌になった彼女の愚痴を聞いた 　人通りを避けて迷い込んだ橋げたの閑散とした公園で 夜景を照り返し魅力的な泣きぼくろを揺らす彼女の涙を拭った 　人のうねりを見下ろせる真っ暗な自室のワンルームで 人間なんてあんなものだと見下しながら互いを求め合った そんな経験全てを幸せなものにしてくれた私の全てともいえる彼女が 居なくなってしまった 世界がバラバラに砕けたようだった 友人達はそんな折に私を病気だと言った わかっていてもうわ言を語る口は止まらなかった あの幸せだった世界と共に死ねたのならどれだけよかったろうか 気付くとそばに一人の女性が居た その女性は大空のようで　ただただ私を見つめてうわ言を聴いていてくれた 私の全てであった彼女との出会いから始まった思い出語りも 気付けば彼女との別れの瞬間にまで差し迫っていた 私のうわ言に耳を貸してくれていた女性は　ただただ夜景を静かに揺らめかせて泣いていた その涙を見て私は気付いた　私の幸せは人のめぐりの中にこそあるのだと 私は窓を開けて街を眺めた 遠くの道から友人たちがこちらに向かってくるのが見えた 互いに手を振り合うと　心なしか自分も相手も笑っていたような気がした その世界の中でただ一人泣いている彼女の涙を拭うため 魅力的な泣きぼくろを見せてくれと　正面に立つ彼女に手を差し出し そこから一歩前に踏み出した clip/1140482

イメージしていたポーズや感情を表現することはできませんでしたが、ちょっと・・・。 でも、そんなことはどうでもよくて、また別の機会に挑戦したいと思います。 というわけで、前回の記事で述べたように このシーンは、"The Weeknd - Save Your Tears "の曲のおかげで大きく触発されました。 歌詞、リズム、そして彼の曲調はリラックスできるものでありながら、悲しいものでもあります。 この曲を聴くと、晶が車に乗っている悲しいシーンのインスピレーションが湧いてくるんです。 外は暗く、車は高速道路を猛スピードで走っている。若い女性が涙をこらえながら、頬を伝う。 彼女との別れに対する怒りと恨みでいっぱいなのだ。 ポーズをとるのに大変苦労し、私にとってはまだ完璧とは言えません。 クレジット - アキラ Cogeta Cats - マスタング Cogeta Cats - ポーズ Cogeta Cats - ステージ：im4301268 - ティアーズ：sm30103595 - スカイドーム： azyazya

第一志望の大学に受かり、これから上京して新生活が始まる。故郷の桜はこれで一旦の見納め、清々しい気分で満開の桜を見上げることができて満足している。しかし心残りがひとつ、家政婦兼家庭教師として自分を心身ともに支えてくれた彼女との別れだ。両親ともに仕事で不在がちな状況で衣食住すべてにおいてサポートしてくれる献身的で慈愛に満ち溢れた彼女の存在なくしてこの状況は得られなかっただろう。それだけに、別れが惜しくなる。泣くような悲しみではないが、これまでずっと胸に秘めていた劣情の捌け口もなく別れてしまうのは、どうしても、男子の沽券という感じのところが収まらない。そんな悶々とした気持ちを知ってか知らず、彼女はほいほいと自分の後について花見に付き合っている。こちらの気持ちも知らずに、そんな、豊満な肢体をこちらに向けて無意識に誘ってくるのだから堪らない。もうすぐ日も暮れる。月も出て雲一つなく、夜桜は白く映えてますます綺麗になるだろう。そして、彼女も──と、振り向いた先の彼女の面持ちはいつもと違っていた。家政婦としての甲斐甲斐しさ、人の妻、人の母としての雰囲気を湛える彼女が、夕陽を背に妙に蠱惑的な色気を醸し出している。「貴方の気持ちを知らない訳ではなかったのよ？」というこちらを見透かした一言にどきり、と目に見えて狼狽する自分を、彼女はこれまた普段見せない悪戯っぽい笑みで見つめている。思い出を残したいか、という問いに、心拍数が瞬く間に上昇する。桜を見れば嫌でも思い出せるようにしてあげる、という言葉と、その一瞬見せた妖艶な微笑みに、今度はぞくり、背筋が震える思いがした。彼女はどんな思い出を焼き付けようとするのだろうか── ───── ここから先は春画になるのでカンベンな。