「十三月の革命」から、今日でちょうど二年目だな。 　実直な君のことだ、私の身の上を案じて不安を感じているかもしれないだろう。何しろ、少々「やりすぎた」からな、私達は。 　だが、安心してくれ、ﾀﾞヴｧｰﾘｼｼ（ロシア語で「戦友」）。私は何事もなく北の海に戻り、そして先月、無事に退役を迎えることができた。 　これからは同士デカブリストでも、ヴェールヌイ大佐でもない、ただの「響」に戻り、残された時間を過ごしていくつもりでいる。 　上から散々残留を懇願されたのだが、君との約束があるからな。だから、私は今日本共和国行の船に乗って海をわたっているところだ。 　あちこちに寄港する便だからこの手紙が届いてもまだ着かないだろう。もし付いたらこちらからまた連絡させてもらう。 　そしたら、また私を抱きしめてくれるか？お前の暖かい腕で、凍りついた私の心を溶かしたあの時のように。 　私本来の姿を前にしても頑としてひるまなかったあの強さで、私を迎えてくれるか？ 　何もかも凍りついたあの街で、白に染まりゆく街並みの中で私を抱きしめた時のように。 　いうなればお前は私の「白い恋人」。その理解に間違いはないと私は信じている。 ………再会を、楽しみにしている。ダビスダーニャ