陽炎型の料理できない方

お坊ちゃま・お嬢さま学校へ通っているけど、実に質素なたたずまいの鏡音家。 そこへ同級生たちとその姉妹（たこ付き）がやってきて、これからにぎやかな夕食が始まります。 「きゃー、たこちゃん今日も美味しそう！」 「栄養ばっちり美容にも優しい夏野菜カレーなのよー」 「悪いなあ、いつもいろいろ家事やってもらっちゃってさ」 「レンくん、これからうちのミクちゃんたちがお世話になるから当然なのよー」 「にゃーん」 「トッピングの一口カツとから揚げも美味しそうとまるネルちゃん言ってるのよー」 「うち、掃除が大変だからってレンはあんまり揚げ物やってくれないのよねえ」 「そこはたこルカにお任せなのよー。みんなが宿題やっている間、大晦日の大掃除仕様でキッチンをピカピカに磨き上げておくのよー。あと、お洗濯するものがあったら出しておいてなのよー」 「何か分からないけど、人さまが作るメシって美味いんだよなあ。たこちゃんたちは片付けも完璧だから安心して任せられるもんな」 「カレーもご飯も少し多めに作ったからどんどんお代わりしてなのよー。残りは明日のお昼にアレンジするなり、小分け冷凍して後日食べられるようにしておくのよー」 「いいなあ、専業主婦たこ。一家に一匹欲しいもんだ」 「ニャア」 「まるくなるたちは料理できないけどカワイイって言ってるのよー」 「当たり前でしょ、あんたたちの癒しだけで十分なんだから。ねえ、レン？」 「まあ、ネコたちの食事の世話くらいはボクが何とかするから、後はリンがもうちょっと戦力になってくれたらありがたいんだけど」 「あら、世の中には向き不向きってものがあるでしょ？」 「明日は邪魔しないようにボクはネコたち連れて映画でも見てくるよ。今年こそは順調に進むといいね、夏休みの宿題」 「え、何か言った、レンくん？」 「いいや、ボクはボクなりに君たちの合宿生活楽しんでいるから、今夜から頑張ってね」 「私とレンはすでに宿題全部終わったけど、みんなの進捗具合はどう？」 「……………………」 「……返事がないところが物語っているにゃあ」