日本近現代史の先駆者として（個人的に）あげられる学者さんが、お二人。そのうちのお一人が今回紹介させていただきます、伊藤隆教授である。学校では先の大戦に対し、陸軍は戦争をしたがる「軍国主義者」だったとする意見が蔓延しています。その通説に果敢に反対説を唱えられたのが、今回紹介させていただいた伊藤隆教授著『十五年戦争』。この本は、お書きになった際、そうとうな反発があったようです（伊藤隆『歴史と私 - 史料と歩んだ歴史家の回想』を参考）。個人的に皆さんに紹介したい一文を載せていただきます。 「国民政府を対手にせず」との声明の推進者は近衛を中心とする内閣側であり、和平交渉を続けようとする「弱腰」の参謀本部と、辞職を賭してたたかって決したものだというわけである。すでにこれ以前から近衛は蒋介石否認論をとなえており、のちには陸軍にせまられてやむをえずと弁解しているが、この段階では、その推進者であったとみてよいであろう。 この一文だけでは、この本の魅力は残念ながらお届けできない。日本経済に忍び寄る「アカ」に脅威についても書かれています。名著です。ぜひお読みになっていただきたい。