個人の「才能」というものはいつ何時に「開花」するかはそれこそ個人差もあり、それは「努力」であったり、「運」であったりと様々である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彼女にとっての「それ」は持って生まれた「体」に加え、「知」に対する飽くなき「探求心」、更には結果的に「ナシマホウ界」という環境に流れ着いたという「運命」、そして自分達の栄達の為に手段を択ばぬという「野心」が混然一体となって結実したのだと言える。

何処の世界でも厄介な存在を牽制したり、貶めるといった事はよくある事である。　　　　　　　　　　　　　　　それが自身にとって障害と成り得るのであるならば猶更に。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自身や姉の学校での栄達を望んでいた当時のミユキにとって「それ」をキリコに対し「実行」する事に聊かの呵責や逡巡は微塵も存在しなかった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そしてその時の「判断」が今この局面に於いて彼女は自身が正しかったのだという事を改めて確信した。