バルカン（Avro Vulcan）は、イギリスのアヴロ社が開発し、イギリス空軍で運用された戦略爆撃機。 いわゆる3Vボマーの一つで、冷戦期に核武装して配備された他、フォークランド紛争では通常の爆撃任務にも就いた。

　長門と一緒に食べる夕食はとても美味しい。今までは味を楽しむ余裕もなくて栄養補給だけだったが、この食堂に出る食事がいかに美味しいのかを改めて知ることができた。長門とお喋りをしながら、同じ料理を食べて笑い合う、これ以上の幸せは無いかも知れない。 「やっぱり、日本も核武装すべきよね」 　だけど横から聞こえた声に全ての意識が持っていかれた。声の主は陸奥であり同席には蒼龍と飛龍に武蔵も食事をしながら頷いていた。 「そうよそうよ、核を持てば色んな国から舐められて済むのよ」 「核が無いから、いつまでもアメ公の言いなりよね」 　四人共笑いながら核の事を話している光景が自分にとっては恐ろしい以外何も感じられなかった。 「いずれはアメ公共に復讐をするとかも悪くないよな」 　武蔵が笑うにつれて他の三人も笑うけど、とても自分は笑うこと事が出来ない。元々この鎮守府はアメリカ人の事を「アメ公」と呼ぶ人が多く、実際に矢矧も外国人を嫌悪していて結構右寄りな人が多いなのは知っていたけど想像を超えていた。どこまでが冗談でどこまでが本気で言っているのか疑問が出るけど、全部冗談でも済まされない気がした。 「他の場所に行こう、夕食がもう砂になった」 　長門が急に席を立ち、自分の手を引っ張って料理も片付けずに廊下へと連れていかれた。そのまま長門が自分の手を離して歩き出すと自分もついて行く、空気は百八十度も変わってしまった。 「酒匂……さっきの会話に少しだけでも賛成出来る所があったか？」 「私はあの核で焼かれる痛みが他の人も同じようになると思うとても賛成出来ないです」 「ああ、所詮あいつ等は核の恐ろしさを知らない。だから平気であんな事が言えるんだ。陸奥には私の痛みなんか一生分からないだろうな」 　話が途切れてしまい、自分は黙って長門について行く。長門がやっと立ち止ったのは戦艦寮の長門の部屋の前であり、扉を開けると自分も一緒に部屋に入った。 「陸奥の所為で気分が害して悪かったな、お詫びのつもりだが苺大福でも食べるか？」 「食べたい」 「それじゃ茶を淹れるから少し待っていてくれ」 　部屋に入った途端に今まで暗かった空気が明るくなった、その後食後の軽いお茶を二人で過ごした。