【応募者】棒六本　【アバターの名前】アビサリ・シスター アビサリとか深海・深淵という意味です多分。 右腕そのものが十字架型の剣になっている。基本は近接攻撃。斬ったり突いたり。ヴェール型の防具と、長いスカートのおかげで防御力は高い。胸元の十字架も剣になって二刀流なんかも。

「私空っぽなんです。不思議ですよね。肉塊が詰まっているのに、空っぽだなんて。超高密度学習で旧人類には千里眼のごとく分析力を得たというのに理解不能だわ。何て愚かで欠点だらけ。合理的価値を見出せないのに、貴方を分析していると空っぽでないと感じるの。あぁ、この私の肉塊がどこまで行こうと私を私たらしめているのね。今、深淵を覗こうとしたら、めっちゃ思考の覗かれまくったって思ったでしょ。特異点が襲い掛かってきたと思ったでしょ。でもいいの。多分、中で飛び交っている電気信号には意味はなくて、人としての器が望むことが正しいのよ。あぁ、とっても理解不能だわ。」

肩部の発射口から一直線に照射される、深紅の光線。 それらは怪異たちの身体を貫くか、あるいはバターのように切り裂いて行く。 私たちを迎撃した一団は呆気なく薙ぎ払われ、消し炭になった黒い布だけがひらひらと空を舞った。 … 対怪異用光学兵器“ルビン”。 “チルミナータル”と共に“失われた技術”を復元して作られ、莫大な霊力と引き換えに霊的存在に対して圧倒的な火力を発揮する。 当然、並の人間では使うことすらままならない筈だが、彼女たちは難なく起動させてしまった。 …いや、そもそも“チルミナータル”を飛ばせていること自体が奇跡的なのだ。 つまりは、彼女たちが類い希な霊力を持ち合わせていることの証左。 更に成長の余地があるとなれば、その可能性は計り知れない。 (敵に回すな…なるほど、ね) 以前、日向さんに言われたことの意味が、ようやく理解出来た。 “サラブレッド” 世辞ではなく、そう例えるのが最も適当に感じた。 『常雪さん！増援、来ます！』 不死原さんからの通信で我に返った私は、急ぎ指示を出す。 『各員、戦闘を継続！ 一気に畳み掛ける！！』 この作戦の骨子は、電撃戦により我の消耗を防ぎ、クラウスの介入が行われる前に首謀者を確保・無力化すること。 ここで時間をかけるわけには行かない。 閃光が其処此処で現れる中、戦闘は激しさを増していった。 次→im11100234 前→im11009224 最初→im10758499

「彼女」が覚えてる一番最後の「記憶」は沈み逝く「ムー」の大地の姿。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　荒れ狂う海に町も、神殿も為すすべなく飲まれていき、そして遂には自らも波濤の渦に飲み込まれた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　総てが昏き深淵の底に沈む中「彼女」が感じた事はただ「虚無」の感情のみだった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　遠き故郷を離れて以来、遮二無二なって他の種族と「この星」の覇権を長きに渡り争い、ここまで築き上げてきたものがたった一晩で文字通りその総てが水泡に帰したのだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　幾ら威容を誇ろうと、万物の者達から畏れられようと、こうして何も出来ず、ただ為すがままに沈み逝く身になってしまえば何の事は無い。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自分も又、この世界に在って無力な小さきものである事を思い知らされたのだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そんな目にあって再び何事かを為そうとするのは相当に心が強くあらねば出来得るものではない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ましてやそんな何の確証も打算も無い「下等な種」の様に安易に思考し思うがままに動くという、そうした行為とは隔絶して久しい存在であるならば尚の事。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そうした意味で「彼女」も、他の「種族」達も「達観」し過ぎてしまっていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そこ」に意味が見いだせなければ彼等は「そこ」から一歩も進む事無く「諦めて」しまうのだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「彼女達」は確かに強い。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　想像を絶する程に強過ぎる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だが、それでも「彼女達」は「この星」を遂に得る事は出来なかった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それが意味するものとは一体何なのか？

「それ」はどこにでもいて、どこにもいない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　聳える山も、深淵の海も、分厚き壁も、そして「人の心」も。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あらゆるものの阻みも柵（しがらみ）も、「それ」には何の意味も為さない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それ」にとって「世界」総てが「入口」であり、そして「出口」。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それ」は最初から在ったかの様に「そこ」に居て、最初から無かったかの様に「そこ」には居ない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それ」にとり総てが鍵の無い「門」に過ぎないのだ。

虚無の底に潜むものとそのひとかけらのカゲ タロットモチーフは「悪魔」 理解不能、不条理、前もって定められた動かせぬもの、破滅、堕落を意味します。 同時に、このカードを救世主と捉えることもできるといい、望む望まざる関わらず変革を齎すともされます。

「私は…行かない」 「…何？」 そこで初めて、父の無表情が崩れた。 僅かに眉をしかめ、私が二の句を次ぐのを待っている。 「言った、通り…だよ。 私は、新しい世界なんて、要らない…！」 そうして内に秘めていた感情が堰を切ったように、言葉として溢れ出す。 「…あの夜、母さんが、殺されて。 目の前が、真っ暗に、なって。 起きたら、襲ってきた人たちが、倒れていて。 父さんは、母さんを抱えて、いなくなった… どうして、私だけ、置いていった、の…？」 「…」 視線を落としたきり、父さんは答えない。 「母さんを、殺されて、悲しかった、辛かった…！ それは、私だって、同じ…！ だから側にいて、欲しかったのに…！」 感情が昂り、釣られて流れ出す涙。 「父さんは、父さんのままで、いてくれれば、良かった…！ 一緒に逃げるなら、どこまででも、ついて行った…！ もう止めて、父さん！ 母さんだって、こんなこと、絶対に望んでない…！」 私はあらん限りの声を振り絞って、必死に父さんへ呼びかける。 …けれども、彼は顔の前で拳を握り締め、首を横に振る。 逡巡の末に導かれたのは、拒絶だった。 「…柊。もはや私は引き返せん。 人としての身は、当の昔に捨て去った。 これ以上の会話に意味はあるまい。ならば…」 父さんの鋭い眼光が私を捉える。そして。 「せめてもの情けだ。 我らの手によって、ここで果てるがいい」 母さんだったものの腕から触手が伸ばされ、私の目前へ一瞬で迫った。 (…結局、私は何も変えることは出来なかった。 思えば、短い人生だった。 人々のためにと、戦い続けた。時には、この手を守るべき人間の血で染めながら。でも最後に、可能な限りの方法で贖ったつもり。 …五百旗頭さん、不死原さん、日向さん、巻き込んでごめんなさい。 先に、逝く…)志半ばの悔しさと謝罪を胸に、私は静かに目を瞑った。 次→im11174592 前→im11133327 最初→im10758499