都市の心は、かつては灯火の温もりに守られていた。今、その心は宝石の冷徹な輝きに閉ざされている。 ――記憶の守護者、アリア --------------------------------------------- 輝石病（Gemosis）が世界に現れたとき、病の進行は緩やかだった。しかし、この病気は時間とともに確実に物や生物を宝石へと変えていった。空気感染の病気であるため、感染源から逃れることは不可能だった。大国の首都も例外ではなく、徐々に宝石の冷たい煌めきが都市の隅々を侵食していった。 以前は都市の空に立ち昇る高層ビル群は、電気の温もりに照らされて暖かく輝いていた。しかし、今ではその温もりが失われ、冷徹な宝石の輝きだけが都市を照らす。病の進行と共に、人々の動きも止まり、彼らの姿もまた宝石と化してしまった。 しかし、全ての人々が宝石化したわけではない。都市の端では、宝石化が進行中の資源を求めて、探索者たちが命を懸けて足を踏み入れている。治療や修復の方法は未だ見つかっていないが、彼らは新しい生活の糧として、残された資源を探し求めている。