鎮守府出港から３日目、早朝。「石動」と「斑鳩」は目標地点に到達した。 如月「全艦停止を確認、現在位置は北方海域、ロシア領海まで700海里。前日からの同海域警戒中のロシア艦隊のリークでは、現在近海にて行動する艦影なし。第32打撃艦隊の行方も以前不明のままです」 睦月「ロシアさんの方も32打戦の行方探してるみたいだけど、有益な情報は入ってきてないみたいだねー。漂流物発見の報告もないって」 海斗「不幸中の幸いだな。ロシア艦隊に打電、引き続き警戒態勢を維持されたし。本艦はこれより捜索活動に入ると」 如月「前日確認された、不明侵入艦についてはどう対処します？」 海斗「こちらから突っかかるわけには行くまい、こっちの仕事は人探しだ。だが備えあれば憂いなしともいう、十分注意するように全艦に通達を」 睦月「ところで、銀さんたちは今頃何してるのかなー？」 海斗「おおかたロシア側の母艦に降り立ってボルシチでも食ってる頃だろ。こっちは申し訳ないが握り飯だ、贅沢はいえんぞ」 睦月「食べられりゃ上等！ってねｗ｣ 如月「姉さんらしいわ」 海斗「さぁ、さっさか見つけ出してさっさと帰るぞ。和平条約締結しているとは言っても、領海近場で戦艦にうろつかれるのはいい気はしないだろうからな」 如月「……もし、32がロシア領海を侵犯してしまっていたら……」 海斗「極端に話は難しくなる。そうではないことを祈ろう」 如月「……お父さん……一体、何があったというのですか？」

太平洋、戦闘海域、真城ヶ原戦隊艦艇群より300海里、海中五十鈴「偵察隊より、緊急入電、こちらに繋ぎます！」銀千代「こちら海底軍艦「羅號」偵察隊、現状を報告せよ」偵察隊「こちら、ストラマ偵察隊、真城ヶ原戦隊は32打戦と合流しました、しかし妙です」銀千代「どこがだ？」偵察隊「多数の敵機が32打戦の周囲を警戒しています、護衛している様子です、今、敵機体が一人の艦娘を取り込んだ模様！、もう少し様子を見ます、通信終了！」銀千代「なに？」五十鈴「32打戦を護っている…妙ですね」銀千代「二つ考えついた事がある」五十鈴「それはなんですか？」銀千代「もしも話だが、一つは「そこにいる32打戦の奴が束ねてるかもしれない」我が九州連合の存在を知り、その拡大を阻止するために、あの補給線を断とうとしたとか」五十鈴「もしそれが真実であれば、あの艦隊を沈めろと、言ってたかも知れません」銀千代「まぁな、そして二つ目、「敵に利用されている」、これならあいつらは大事な釣り餌、他の艦隊を釣って、壊滅まで追い込もうとしているとかだ…」五十鈴「ありそうでないような、ないようでありそうな…ってとこですね」銀千代「そうだな、真実はわからん、とにかく、いったん警戒態勢に移っておけ、それと、戦隊に一人の艦娘が敵機に取り込まれてしまった事と32打戦の現状を至急送信せよ」五十鈴「了解」銀千代「それと山城、元気ないな、どうしたんだ？」山城「金剛が部屋の外に出て、同時に姉様が鎮守府にあった戦艦長門に乗って、鎮守府を出たの」銀千代「なんだと？」五十鈴「こんな事があろうかと、長門の通信を傍受しました」銀千代「構わん、聞かせろ」五十鈴「はい、送信が終わりましたので、録音した通信を再生します」扶桑「潜水艦、羅號の現在位置は？」潜水艦「はい、戦隊艦艇群より300海里です」扶桑「わかった、取り舵一杯！全速前身！急ぎ羅號と合流せよ！」山城「まさか姉様、羅號と合流しようと」銀千代「浮上しろ、戦隊の目に入っちまうが、こうせんと扶桑の目にも入らん」五十鈴「了解、羅號浮上、扶桑の艦隊に位置を示せ」