クリーチャー商店街の酒場兼宿屋にやってきた三人。 今日は昨夜、というよりも本日未明まで行われていた里の夏祭りの打ち上げです。 「正しくは、魔法薬と物資搬入で大忙しのクランのお疲れさん会かな？」 「今日の里は全域後片付けで、とてもじゃないけどゆっくりできないから」 「平時でも里でゆっくりなんかしてないでしょ、クランは」 「まあね」 「屋台やお祭り広場だって、全然顔出してないでしょうに」 「どんな感じだったかは、見なくても予想つくけれど」 「特設舞台でのレア様やオルティスたちの演奏会、エーデルの歌劇やボカロの皆さんのライブがすてきだったわよ」 「あ、それはちょっと見てみたかったかな」 「秋祭りの時もたぶんやるだろうから、その時は私たちと一緒に行く？　クラン」 「気が向いたらね」 「今日はさすがに、このお店も落ち着いてるわねえ。昨日までは混雑してたけど」 「たぶん、今朝方までは打ち上げで大騒ぎだったと思うわよ？」 「酒場はすいていて、なのに宿の方は今日もほぼ満室だそうだから、まあ想像つくわね」 「客室回って二日酔い用の魔法薬売りに行ったら、大儲けできそう」 「あはは、一応レア様の館とエルフの館、リュンヌの店以外に魔法薬を卸すのは厳禁なの。例外は特注品を本人に手渡すくらい」 「私にぴったりの汎用品でさえ、セルシアナには猛毒って聞いてるわよ」