少子高齢化による適齢労働人口の減少は目下我が国だけに留まらず世界的な問題になりつつある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その上、かつての「国民総サラリーマン社会」とまで言われた「高度成長期」の「SYOUWA」の頃と違い「HEISEI」の今は人々の意識も変化し、親世代の「SYOUWA」的労働を「社畜」と言って嫌悪し、社会もそんなかつての「病的労働状況」が漸く誤りであった事を認識しその見直しや改革が進められている（中には未だに理解しない旧態然とした所もあるが………ｗ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それは「裏世界」においても同じであり彼らの意識の変化と共に変転する時代に取り残されぬ様に、そしてこれからも自分達の様な「日陰の存在」が生きていける「この世界」を守るべく自身の変化を余儀なくされていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今回「彼」が取っているこの「休暇」もその一環である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　特に「彼」の場合、組織加入から現在に至るまでの休暇取得率が自身の「改造手術」後以降ほぼ皆無に等しく（定期メンテによる業務不可の日を除く）、計算すると相当数の休暇日数が溜まっている事が判明した。「表の世界」では有休などは一年毎に取得・未取得問わずリセットされてしまうのだが他星系・多種族が多く所属し、寿命や一般常識、習慣等が悉く異なる者達で構成されている宇宙海賊ギルドにおいては年毎リセットはされず、単純に休暇は取らなければそのまま蓄積されていく（休暇を一日幾らかの現金や電子マネーに替える事も可）。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「彼」はあまり休暇を取る事にも換金する事にも興味は無く放置していたが、ギルドの人事が「クリボーさぁん、いい加減さっさと処理して貰わないとウチも責任問題に問われるんですよぉ。ボスからも言われてるんでしょ？　なんで明日から休暇、取って下さいねｗ」と厭味ったらしい表情で言われたので思わず●そうかと思ったが仕方なく荷物を纏めてこうして休暇の旅に出ているという訳だ。