春の陽気に誘われて、今年も桜の精霊たちが花を咲かせて回ります。 今年は特に騒ぎもなく、みんなで揃って蕾を開花させているようです。 「だって、いつもならあと一週間くらいは寝ていられたはずなのに、どうして急に暖かくなっちゃったのよ……って、毎年言ってる気がする」 「本当よねえ、最近春を通り越して夏になるのすっごく早いんだもん。ケンカしている暇もないわ」 「いくら桜の開花から実をつけるまでが仕事の私たちだって、忙しすぎて目が回りそう」 「精霊が過労死なんてシャレにならないんだけど」 「桜餅にお団子に甘酒と、食べなきゃやってられないわ」 「もうちょっとなのよー、ここら辺の桜も喜んでいるのよー」 「ま、だいたい咲かせたから、次は隣の公園ね」 「夜が明けたら花見客がたくさん来るから、それまでに片づけないと」 「人間がどんちゃん騒ぎやってる間、私たちはひたすら睡眠に充ててるけどね」 「ミクちゃんたち、帰りにおやつ買って疲れを癒すのよー」 「今の時間だと……コンビニの桜スイーツかな？」 「最近は和菓子屋の開店待たなくていいから便利よねえ」