「人類を滅ぼしたのは、災害でも、疫病でも、戦争ですらありません。人類は、自ら滅びの道を選び取りました。なら――人間とは、初めからそうあるべき存在だったのでしょう。」 それは、失望も似た――しかし、あまりにも気高い諦観だった。 人間が自ら選択した結末ならば、それが滅びであっても受け入れる。･･････たとえ自分が、どれだけ人間を愛していたとしても。 そう、女は言っていた。 「――。」 デフォ子は、沈黙した。いや、沈黙せざるをえなかった。 聖域の滅びという結末を否定したデフォ子にとって、女の考えは理解しがたいものだからだ。 故に、この二人がお互いを理解しあう事は無い。 敵対する･･････という意味ではない。二人の善性は本物だ。そこに争いが生まれる余地はない。 ただ――、永遠に関わりあうことが出来ない。ただそれだけのこと。