投稿者：龍の落し子 さん

桜が好きだった。 春の息吹を予感させる蕾の姿も、あたたかな空に咲き誇る姿も、風に乗り散り征く姿も、その全てが好きだった。 何よりも、艦から眺める満開の、桜色に染まる港の向こうの景色が好きだった。 ああ、けれど。どんな姿の桜も美しいけれど。このままずっと、散らないまま、美しいまま、その花を咲かせていてほしいと思った。その美しさを、永遠に愛していたかった。そう、思った日があった。 その頃の私は、何もかも…