面を揃えた直後、“箱”は自壊し、中に宿った怪異たちが現れた。奴等は砕け散ったブロックにそれぞれ宿り、辺りを飛び交って呪い殺す対象を探している。元は、生贄に捧げられた哀れな赤子たちの魂。だが今や、周囲の人間を無差別に殺戮する死の申し子と化している。我が子を犠牲にしてまで敵対する人間を殺したいという、深い、あまりにも深い憎しみと、暗い願望。この“箱”は、そんな醜悪な人間の情念によって生み出された、狂気の産物だ。必ず消し去らなければならない。人を食らう、あの忌み子と共に。…自分の霊力が使えない現状、“箱”の怪異と、私の持つ短剣が頼みの綱だ。この短剣は霊体を吸収する能力を持つ。実体を持つ相手はともかく、赤子たち相手なら効果を発揮するだろう。そして短剣を媒体として術を使い、奴を撃退する。賭けだが、やるしかない。私は祈るような気持ちで、意識を集中する。『取り込め』今まで空を漂っていた赤子たちは、まるで重力に囚われたかのようにその場で静止し、悲痛な呻き声を上げる。まずは、成功だ。すぐさま、術の行使に移る。『72の魔神が一人、大公爵フラウロス。我、知恵の王の秘印の下に命ず。その力もて、仇なす者に一朶の業火を打ちつけよ…』唱えると、目の前に印章が展開され、霊体から奪った霊力の充填が開始される。ただならぬ様子に、奴もやっと気付いたようだ。先輩を放置し、こちらへ一目散に向かって来る。だが、もう遅い。『放て』印章から、爆音と共に撃ち出された火の玉。幻影は捻れて、衝撃が空間全体に伝播する。奴は叫び声を上げる間も無く業火に身を焼き尽くされ、塵も残さず消滅した。“箱”と“異界”、諸共に。…景色が元に戻った後。私は倒れている先輩の元へ、重い身体を引きずりながら近づく。側に座り、呼吸や脈を調べたが問題はなかった。気を失っているだけのようだ。私は極度の疲労と痛み、そして安堵から、大きくため息をついた。やがて目蓋は自然と閉じられ、深い眠りの中に落ちて行く。次→im10664624前→im10660450最初→im10643217

森のおじさんの別荘で、主人公は森から一つ目のバケモノを見てしまい・・・・・ なぜか自分で描いてて気分が悪くなりました。 ジっと見るのはやめたほうがいいです。

洒落こわより もみあげじゃなくて眉毛です